ScrollMate
2024.02.01

解決したい情報環境をめぐる課題と構想の経緯
(1) テクノロジーへの批評的な視点の重要性を認識
- 企業のエンジニアとして従事する中で,システム開発の技術的側面だけでなく,倫理観やこれからのテクノロジーの在り方を考えていく重要性を認識
(2) スマホの無意識利用における弊害
- ソーシャルメディア上のアテンション・エコノミーの弊害による 過剰なコンテンツの増加
- 企業の過剰な利益追求のためにユーザーを騙す「ダークパターン」
(3) 単純に遮断をするのではなく,より良い関係性を築く
- Amazonにて「タイムロックコンテナ」と検索すると,多くのスマホ利用を抑制する製品がヒットする
- しかし、本来の調べ物や連絡手段としてのスマホの利用を制限することは、習慣を変える目的とは異なる。
- 完全に遮断をするのではなく、無意識利用を避けるための方法を探る必要があると考える。
(4)ソーシャルメディアやWebサービスの利用時に,つい必要以上に見過ぎてしまうことを防ぐには?
- 総務省情報通信政策研究所の調査によると,インターネットの利用において「動画共有サービスの視聴」が最も多く, 次いで「ソーシャルメディア」の利用が多い
- ソーシャルメディアの「タイムライン」は,レコメンドされた次の情報を見るために,無意識にスクロールを繰り返してしまう
→ スマホの無意識利用における弊害に対して,単純に遮断をするのではなく,自分自身でより良い関係性を築くためには?
ScrollMate
スマートフォンのWebサイト・SNSの「ついつい見過ぎてしまう」行為に着目し、その行為を安易に断ち切ることを目的とせず、自分が陥っている状況理解を促すデバイスとして、スマートフォンとの付き合い方を探る拡張カバーデバイス
Webサイトを見ている際のスクロール量をさまざまな単位で可視化することにより、「このくらいの数値にたどり着いたら閲覧を止めよう」といったような意思決定を引き出し、利用者自身がスマートフォンとのより良い付き合い方を探る。
また、外部インタフェースを用いることで、普段のスマホ操作とは異なる意味付けを目指す。
ユーザーテストによる評価・効果
デバイスをiPhoneに取り付けることで無意識利用に影響を与える
「友達に会う時にスマホを出すとみんな反応してくれる」
「デバイスになんか見られている感覚がある」
「ほんの数秒でこんなに大量の情報を摂取しているのかという驚きがあった」
ブラッシュアップのポイント
- 表示する情報のレパートリーを増やす
- 現在は,「スクロール量」「スクロールの速さ」「インスタグラムのストーリー閲覧数」のみの表示
- 時間や,起動回数など,表示する情報のレパートリーを増やし,ユーザーテストを実施し効果を確認することを計画中
提案アイデアの特色・予測されるインパクト
(1) スマホに装着するデバイスを通してスマホの見え方を変える
現在のWebサービスには,無限スクロール機能や自動再生機能が多く備わっている。過度に閲覧を引き寄せるソーシャルメディアやWebサービスに対して,デバイスの画面を通して内省の機会を提供する。
(2) 煩わしさを感じさせずに,スマホとの関係性を考える契機に
外部の画面に情報を提示することで,画面を切り替えることなく気づきを与えるキッカケを作り出している。そのため,よりデバイスを小型することや提示する情報のレパートリーを増やすことが必要となる。